薬について

私には薬剤師をしている知人がいます。

薬剤師といっても、彼は病院の中ではなく、直接薬を販売する薬局のチェーン店に勤務しています。

そこで彼は色々な人を見るのですが、自己流の薬の飲み方をしている方が多くいるといいます。

  • 歯医者は歯の治療で関係ないから、今飲んでいる薬のことを伝えない
  • 「いつまでも風邪をひいている」と思って風邪薬をずっと飲み続ける
  • 薬は水なしで飲んでいる
  • 薬は嫌いだから、1日3回のところを1日2回しか飲まない
  • 市販薬は安全だから、血圧の薬を飲んでいるけど伝えなくてもいい という患者さん

別に本人は普通に飲んでいるのかもしれませんが、これ、薬剤師から見ると、かなり恐ろしい飲み方なのです。

最悪、死に至ることだってあるわけです。

「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか?

最近、耳にすることが増えましたが、セルフ=自己、メディケーション=治療、と いう意味です。簡単な病気やけがくらいなら、自分で市販薬を買って治療するという ことです。

でも、自己流の飲み方では危険なこともあります。「自己治療」と「自己流治療」は違います。

薬を正しく飲まないと死に至ることだってあるのです。安全性の高い市販薬ですら、 死亡例が厚生労働省に報告されています。

それも毎年必ずです。「クスリとはリスク である」というのはまさにその通りです。

自己治療は自分で自分の健康を守るための治療です。間違った使い方では自分の健康を守るどころか悪くしてしまいます。

自身の健康を守るために、薬に関する知識は是非とも身に付けておきたいですね。

 

薬は体の中で何をしているのか

病気になった時、けがをした時、「薬」は生活に欠かせないものとなっています。

しかし、一方で、「薬は毒である」「飲まないほうがいい」という話を聞くこともあ ります。

そこで、まずは「薬とは何か」ということについて、お話ししておきたいと思います。

そもそも薬は、ある病気に対して効き目が出るように作られています。

私たちの体には「自然治癒力」というものが備わっています。

転んで傷になったと ころも、何も治療しなくたって何日かしたらきれいに治っています。これは「自然治癒力」が、傷ついた部分を治してくれたからです。 自然治癒力ではかなわなくなった時に、私たちは病気になります。

たとえば、風邪をひいた時は、「風邪のウイルス」が体の中に入って悪さをしている、 と考えてください。自然治癒力はある程度、風邪のウイルスと戦ってくれますが、最 終的に風邪のウイルスが勝ってしまうと風邪になる。こんな感じです。

糖尿病は体の中の糖分が異常に多くなる病気です。暴飲暴食によって、異常に多くなった糖分は燃やされたり、脂肪に作り替えられたりして糖分は一定の量を保っています。

異常に多い糖分は「毒」になるからです。毒にならないように、体の自然治癒 力が働いて毒にならない量に抑えてくれているのです。

 

ところが、その自然治癒力が弱ってくると、体の中の糖分が増えてきて、毒になる 量まできます。

がんはまさに自然治癒力がかなわなくなってできてしまった異常な細胞です。その 異常な細胞が増えすぎて悪さをします。

薬というのは自然治癒力ではかなわない部分を補ってくれるものです。自然治癒力 がかなわなくなって糖分が異常に多くなったら、そのための薬を使って糖分を少なくすればいい。

 

風邪のウイルスが多くなってしまったのなら、薬を使ってそのっらい症 状を抑え自然治癒力が発揮できるようにすればいい。がん細胞が多くなったのなら、 がん細胞の中にあるDNAにとりついてがん細胞そのものを殺す「抗がん剤」を使っ てがん細胞を少なくすればいい。

このように悪さをしているものを元通りにするというのが薬です。

当然ながら、ウイルスや症状によって必要な効果は違いますから、それぞれの薬が、それぞれの効果 が出るように作られています。

だから、熱が高い時に飲む熱さましの薬は、平熱に飲 んでも熱が下がりません。

熱さましは単に熱を下げようとするのではなく、熱を下げ なければいけないような高熱の時に、薬の効果が出るように作られているからです。

こんなふうに、薬は、効果が出る症状・効果が出る量・効果が出るタイミングなど が、事細かく決まっているのです。